勝占智子のフィリピンだより＜2＞

こちらでの仕事の初日、プロジェクト担当者と、前回の事業地であるナグティプナン郡の小学校へ「手洗い講習」に行きました。

小学校には石鹸は一つもなく、子供たちは正しい手の洗い方を知りません。試しに洗ってもらったところ、「桶に貯めてある水に手を浸して終わり」でした。

その後、実際に手の洗い方を教えて一緒に洗いました。みんな一生懸命洗っており、どちらが泡立つか競争していました。

他の小学校から見学に来ていた先生も「私も洗わせて！」と参加してきました。先生は「私の学校では役所からもらった石鹸が一個あるだけよ。石鹸をそろえるのにもお金がかかるから大変なのよね」と言っていました。

このように知識があっても、設備や資金により現実として行うことが難しいことが多々あります。それをただ「できない」と終わらせるのではなく、その中で何ができるのか、現地の方と一緒に考えていきたいと思います。

保健医療支援事業にはヘルスステーションとウオーターシステムの建設も含まれています。村のどこにヘルスステーションを建てるのか、ウオーターシステムの水源はどこか、村役場のエンジニアや診療所の医師、村長らと探索中です。

眺望の利く、なだらかな山道を延々と歩き続けます。歩き始めて2時間、休憩です。ドライバーのクリスさんが励ましてくれます。長い長い道沿いで、ブタやカラバオ（牛）に出遭います。

「生水を飲んではいけない」と言いますが、暑い中、実際にこの道を歩いていると、簡単には口にできないと思いました。疾患予防に関しても、地域の生活をきちんと見て、今後関わっていきたいと思います。