形成外科

形成外科

形成外科とは、身体に生じた組織の異常や変形、欠損、あるいは整容的な不満足に対して、あらゆる手法や特殊な技術を駆使し、機能のみならず形態的にもより正常に、より美しくすることによって、皆さまの生活の質“Quality of Life”の向上に貢献する、外科系の専門領域です(日本形成外科学会HPより)。

医師紹介
現在、清家卓也、柏木圭介、佐々木健介の常勤医師3名体制で、形成外科領域全般について診療しています。

外来診療

外来は月、火、木、金曜日の午前中です。前部長(現:美摩病院院長)の長江浩朗先生に毎週木曜日のみ外来診療および外来手術をしていただいております。
ご紹介いただく先生方には、入院加療を要すると思われる患者さまにつきましては、急を要しない限り月、火、金曜日の外来へご紹介をお願いします。緊急性のある疾患の場合は、まず電話連絡をいただければ対応させていただきます。
水曜日は休診日です。中央手術室で終日手術をしておりますので、受診にいらしても対応できない場合があります。申し訳ございませんがご了承ください。

形成外科の手術・治療

局所麻酔下に外来で行う手術から全身麻酔下で行う大きな手術まで、形成外科ではさまざまな種類の手術を行っています。全身麻酔下手術は原則毎週水曜日ですが、緊急性の高い疾患の場合は麻酔科と手術室の協力のもと、水曜日以外でも可及的早期に手術ができるように努めています。局所麻酔下手術は、予約が空いていれば初診の日にできる場合もあります。
比較的短時間で可能な手術のうち、未就学の小児で局所麻酔での治療が困難な場合、「日帰り手術センター」を利用して入院をすることなく全身麻酔で手術を行うこともできます。ただし合併症がない等の条件があります。
当科で行っている手術件数と治療の概略は以下の通りです。

2020年6月手術件数(PDF)

皮膚・皮下の良性腫瘍

当科で最も多く手術を行っているのが皮膚・皮下良性腫瘍です。頭から足の先まで、全身が形成外科の治療対象です。母斑細胞性母斑(ほくろ)、表皮嚢腫(粉瘤)、脂肪腫などが含まれます。皮膚・皮下組織より深いところにある軟部組織(筋肉、血管、神経、骨など)の腫瘍も扱っており、重要な神経や血管などから丁寧に剥がして切除するような手術も行っています。
リンパ管奇形(リンパ管腫)や血管奇形(血管腫)に対しては、放射線科と協力して、切らずに治療する硬化療法や塞栓療法も適応があれば行っています。
手術には「見た目を治す」という意義もあり、手術のあとが分かりにくくなるような切り方や縫い方の工夫をしています。

皮膚・皮下の悪性腫瘍

皮膚癌はすべての悪性腫瘍の中では少ない部類に入りますが、決してまれな疾患ではありません。当科では、三大皮膚癌といわれる基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫やその他の皮膚・皮下に発生する癌についても積極的に治療にあたっています。
癌は一定の距離をとって“拡大切除”しますが、切除した際に生じる大きな皮膚欠損、組織欠損を植皮や皮弁を用いて治す手技は形成外科の得意とするところです。
術後に追加する薬物療法や放射線療法については、皮膚科や放射線治療科と連携して行っています。

先天異常

生まれながらにしてからだの形が違う先天異常に対する治療は、機能面の障害を軽減させるだけでなく、整容面を“正常”とみなされる状態に改善して、ひいてはご本人や親御さんの心の負担を和らげるという意義もあり、形成外科の担う役割は大きいと考えています。
唇顎口蓋裂では唇から上あごにかけて裂け目があり、唇や鼻の変形に加え、飲み込みや言語の発音にも障害を来します。整容的、機能的な改善を目指し、成長段階に応じて複数回の手術を行います。
通常生後3か月頃に口唇裂の修正手術、1歳頃に口蓋裂の修正手術、4~5歳頃に口唇裂の二次修正と鼻修正(必要があれば)、8~10歳で顎裂部への骨移植を行っています。鼻咽腔閉鎖機能不全が残っている方には咽頭弁形成術も行います。院内の言語聴覚士や近隣の唇顎口蓋裂の歯科矯正を専門とする先生とも協力し、口唇裂、顎裂、口蓋裂に対するトータルケアを行っています。
また、これまでは行っていなかった歯科矯正治療により改善が困難な咬合(咬み合わせ)の不整に対する顎骨骨切りによる外科矯正治療にも対応していく予定です。
手足の指(趾)の形成異常である多指(趾)症、合指(趾)症、多合指(趾)症など、耳の形成異常である小耳症、埋没耳、副耳など、臍の形態異常である臍ヘルニアなどの治療にも取り組んでいます。

悪性腫瘍切除後の再建

他の診療科が悪性腫瘍を切除した後に生じる組織欠損に対する再建手術にも積極的に取り組んでいます。
乳癌と診断を受け乳房切除術を受けた女性の喪失感は計り知れないものがあります。失った乳房の形を手術で再現することができれば、気持ちも前向きになって日常生活や仕事への復帰の手助けになるかもしれません。当科では、背部(広背筋皮弁)、腹部(遊離深下腹壁動脈穿通枝皮弁や腹直筋皮弁)、大腿部(遊離大腿深動脈穿通枝皮弁)などの御自身の組織を用いた乳房再建(自家組織再建)を行っています。また当院は日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会から認定を受けた乳房再建のための人工物(エキスパンダーおよびシリコンインプラント)の取り扱いができる施設ですので、自家組織再建を望まない方や適応のない方には人工物による再建も可能です。また、切除と同時に行う一次再建、切除と別で行う二次再建のいずれにも対応します。
頭頸部癌切除後の再建手術も行っています。舌癌や口腔底癌切除後の欠損に対し、腹部や大腿部からの遊離皮弁を移植し再建します。下咽頭癌や食道癌に対しては遊離腸管を移植し、食物の通り道を再建します。

眼瞼下垂症・内反症・外反症

加齢やハードコンタクトレンズの長期使用などでだんだん瞼が下がってくる方がいらっしゃいます。視野が狭くなって見ることに疲れを覚えるようになり、見る時の姿勢が悪くなるために肩こりや頭痛の原因にもなるという指摘もあります。瞼を挙げる役割の上眼瞼挙筋腱膜を短縮する手術などで症状が改善する可能性があります。生まれつき瞼の挙がりにくい先天性眼瞼下垂症については、額にしわを寄せる前頭筋と連動させて瞼を挙げることができるようにする手術を行っています。眼瞼(睫毛)内反症、眼瞼外反症などの視力に影響を与える瞼の変形についても手術しています。まずはかかりつけの眼科の先生にご相談し、手術適応があるようなら紹介状を持って受診していただきたいと思います。

外傷・熱傷

三次救急病院という施設の性質上、交通事故や仕事中のけがで受診する方が多く、さまざまな外傷を扱っています。顔面を中心とする切り傷、裂け傷の多くは当科で縫合処置を行います。できる限り傷あとを残しにくくするような縫い方の工夫をしています。
骨折の中でも顔面骨の骨折は形成外科が担当します。鼻骨骨折、頬骨骨折、眼窩骨骨折の割合が高く、整復のしやすさの観点から、受傷当日ないし数日以内に整復手術を行っています。頬骨骨折については通常の金属製あるいは化学樹脂などの吸収性プレート固定する手術も行っていますが、症例によっては口腔内の小切開のみでプレート固定のいらない低侵襲な手術にも取り組んでいます。脳神経外科および連携している歯科の協力のもと、上顎骨折、下顎骨折、顔面多発骨折も扱っています。
広範囲熱傷は単なる皮膚の損傷だけでなく、全身の炎症反応に伴って血管内脱水になったり、細菌感染から敗血症になったりすることで、ショックに陥り、生命に危険が及びます。熱傷に対しては救急科による全身管理のもとで植皮などの外科的治療を行っています。

足潰瘍・褥瘡

糖尿病や動脈硬化などが原因で足に壊疽ができ、どんどん中枢側へ広がってきて、下腿切断や大腿切断を余儀なくされる方がおられます。当科では、循環器内科や心臓血管外科と協力し、血行再建治療と傷の手術を並行して行っています。足をできるだけ長く温存して歩行機能を守ることを目指しています。
超高齢社会となり、寝たきりの方が増えています。褥瘡(床ずれ)ができて深い傷になってしまう方もいらっしゃいます。このような方には、安易に傷を閉じる手術をしても再発がほぼ必発なので、根治手術は行わず、感染コントロールのためにポケット切開や汚染組織の除去を行いながら、傷を悪化させずうまく付き合っていただくような管理を行っています。

瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド

外傷(けが)の傷あとを目立ちにくくしたい方、熱傷治癒後の傷あとのひきつれで首や四肢の関節が動かしにくくなった方、他の診療科での手術あとが硬くひきつって残ってしまった方などの治療を行っています。切り取って丁寧に縫い直す、植皮や皮弁の移植を組み合わせるなどの手術治療とステロイドの外用、局所注入療法、内服(トラニラスト)療法などの薬物療法、放射線(治療)科の協力による術後電子線照射など、その病態や程度、患者さまの希望に応じて様々な治療を組み合わせて対応しています。

巻き爪・陥入爪

足(特におやゆび)の爪が巻いたり幅が広かったりして食い込み、その刺激で腫れてしまって痛みが出るようになると治療が必要になります。爪の切り方やテーピングでよくなる場合もありますが、改善が見込めない場合は手術を行います。手術は様々な方法がありますが、当科では「フェノール法」という、食い込んだ部分の爪をフェノールという薬剤を用いて生えないようにさせる方法を行っています。ただし、弾性ワイヤーや矯正プレート、人工爪などによる自費矯正治療は行っていませんのでご注意ください。

形成外科での治療を望まれる方は、かかりつけの先生とご相談の上、紹介状を持って外来にお越しください。

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